" A QUIET SUN " Kazuna Taguchi

" A QUIET SUN " Kazuna Taguchi

田口和奈は、多重的な構造を持つモノクロームの作品を通じて、時間や空間といった形而上の存在を見出そうとする製作を続けています。

例えば、自ら製作した絵画や彫刻を多重露光で撮影する、プリントした印画紙の上に油彩のドローイングを描き、再び撮影をするといった重層的な手続きを経て生まれる作品には、写真でありながらも、長い時間をかけて画布に向かう絵画と同様の地平を見出すことができます。

田口の作品は、しばしば過去の美術作品の参照や、匿名のファウンドフォトや雑誌といった既存のイメージの応用を含みます。

 

収集した過去のイメージから象徴を読み取ろうとする身振りは、アビ・ヴァールブルク(1866ー1929)の「ムネモシュネ・アトラス」からの影響も受けています。

アーティストは、それらのイメージの中にある複数の時間軸や身体の断片から、記憶を生み出す星座的空間の兆しを掬い取り、そこに節制と偶然を招き入れるべく、時に修復し、時に自作の中へと再び迷い込ませるのです。

 

 

2022/06/17(金)~2022/09/30(金)

東京都中央区銀座5-4-1

銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9F

 

 

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