BESPOKE SHIRTS MAKER
-
1/20(土)・1/21(日)
Lister Ginza
2月下旬予定
Lister Minami Semba
-
-
紳士服の服飾造形においてシャツやパンツなどは、人体の肌に触れる箇所が最も多く、個々のパーソナルな体型がシビヤに反映します。
中村氏曰く、『人間の上半身(首と襟から肩・胸筋)に向けてどれだけ美しく生地を体に添わせる設計が最も技術と経験を要する箇所。
そこが全ての要であり、そこから下の腕やウエスト、着丈などはデザインの話になります。』
要は上半身の設計図の重要性。
上半身において、0.何ミリの数値の違いが全てが大きく変わる世界。
-
【1.ビスポークシャツについて】
オーダー=体型に合わせて寸法を合わせることだけがフォーカスされがちだが、単なる寸法合わせをしているわけではなく、お客さまの体型の本質的な部分に注目しながら、合わせるべき箇所は合わせ、ゆとりを持たせるべき箇所はゆとりを持たせ、それらのバランスがもたらす優雅なリラックス感のあるシャツを目指しています。
【2.型紙について】
マスターパターンから補正を加える、いわゆる"パターンオーダー"ではなく、一本線から始まる、本当の意味でゼロから設計していく手法を取っている為、パターンオーダーではアプローチし切れない部分で設計にこだわっています。これまでの経験から自分のベストと思うラインを出せるよう、日々、型紙と向き合い、またそれを方程式化し、どのお客さまにも適用させられるよう、常に自らの技術に驕ることなく進化していくことを意識しています。
【3.縫製について】
縫い代の始末は全て折り伏せ縫いにし、洗濯に耐え得る頑丈な作りにしています。
コバステッチは出来る限りキワに、運針は生地ごとに調整、また、糸に強い撚りをかけた"フィラメント糸"という比較的滑らかな糸を使用することで、運針を細かくしても糸目が綺麗に見えるよう工夫しています。
羽根襟やカフス等、要所要所で内寸外寸の寸法差を取るよう癖取りをしながら縫い付けています。
裁断、縫製、ボタンつけ、仕上げを全て一人で行う為、工場でのレーン作業の中で綺麗に縫われたものと比較しても、出来上がり時の雰囲気の"一体感"という部分で丸縫いならでは差が生まれていると感じています。
【4.造形について】
服は全て胸から上のフィッティングで決まると考えています。無理なく体型に合った襟ぐりは綺麗に立ち上がる襟を生み出し、それが色気となり、着心地にも影響します。
しっかりバランスの取られた服は、肩からフワッと均一に、無理なくゆとりが入り、まるで空気を纏っているかのような感覚に陥ります。そのバランスの取られた空気感から生まれる優雅な造形美を常に意識しています。空気をコントロールするような感覚です。
また襟先やカフスのカーブなどにはしっかりとエッジを効かせ、柔らかい空気感と洗練されたキレのあるバランス、その二つの要素が両立している独特な色気というものを意識しています。
【5.今までの影響について 】
シャツの道に入った理由。
元々はレディースのデザイナーになる為に服飾学校に入りました。しかし、その中で自分にはその世界が合わないことを感じ、一時期、迷走していた期間がありました。
そんな時に出会ったのが、メンズクラシックの世界でした。
ある程度、ルールが決まった格式高い業界で、これ見よがしなデザイン性は一切なく、素人には想像もつかないような細部へのこだわりから生まれる、もはや工芸品に近いような服に魅力を感じるようになりました。
そこから、いくつか一旦、小売の販売、テーラーを経験した後、自分の中で最も影響された大阪の某ビスポークシャツメーカーと出会いました。そこで培った技術、美意識というものが今の自分に大きく影響しています。正直、元々はテーラーになりたかったのですが、そのシャツメーカーでシャツの技術を習得していくうち、そのアイテムならではの色気に魅了されていきました。
多少のシワさえ愛せる"シャツ"という懐の深いアイテムに惹き込まれていき、この道で生きて行くことを決意しました。