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IKTT/Stripe Lac

IKTT/Stripe Lac

通常価格 ¥90,000
通常価格 セール価格 ¥90,000
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絣の緯糸は、本来ひとつの模様を織り上げるために、柄ごとに丁寧に竹の棒へ巻かれ、決められた順番に従って織り進めることで初めて図案として姿を現します。
しかし、束の中のほんの一本でも糸が尽きてしまうと、その模様は二度と織ることができず、残された糸は使い道を失ってしまいます。

この布は、そんな“余り糸”に新しい命を与えるために生まれました。
残った絣糸を二本撚り合わせ、一本の糸として再生し、もう一度機にかける。
長い経験と勘が積み重なった織り手たちが、その小さな“余り”から想像を超える豊かな表情を紡ぎ出したのです。
Lac(ラック染め)の赤を基調とした余り糸を使い、ストライプ模様を再構築した今回の布もそのひとつ。
黒の緯糸を差し色として使うことをあえて避けたことで、マーブルのような柔らかな揺らぎが生まれ、複数の糸が重なり合う自然なグラデーションが、布全体に深い陰影と静かな奥行きを与えています。
さらに布の両端には、織物本来の命をそのまま伝えるように経糸のフリンジを残し、重厚感を添えています。


今回のカンボジア出張は、この布に触れ、その背景にある“時間”をより深く知る旅でもありました。
訪れるのは今回で二度目。
カンボジアは発展途上国であり、昨年見た景色とは少しずつ変わりつつあります。
都心部では開発が進み、道路は整備され、新しい建物も増えていました。

しかし、変わらない場所もあります。

IKTTの「伝統の森」に足を踏み入れた瞬間、去年とまったく同じ空気が流れていました。
手織り機の“カタン…カタン…”という規則正しい音、糸車を回す優しいリズム、子どもたちの笑い声、遠くで聞こえる水牛や鶏の鳴き声。
森の暮らしは少しも急がず、穏やかに、確かな呼吸を続けていました。

この森では、暮らしの中心に「織物」があります。
草木を育て、糸を紡ぎ、染め、時間をかけて布を織る。
言葉にすれば単純ですが、気の遠くなるような時間と多くの人の手を経て、ようやく一枚の布が生まれます。
スマホひとつで何でも済ませられる便利な時代にあって、こうして手の温もりを守り、その土地の伝統を次の世代に繋ごうとする姿には、静かで確かな誇りを感じました。


ただ、私たちはこの布を「民藝品」としてではなく、あくまで“ファッション”として届けたいと思っています。
「村の人のために」という立派な理由ではなく、ただ、この布の美しさに心を奪われた一人のファンとして。
伝統、技術、手間のすべてが詰まった布が、日常の装いとして自然に溶け込み、誰かの生活を少し豊かにする。
その未来を想像しながら、今回の布をご紹介しています。

今までにない重厚感と質感、そして人の手が生む温度を、ぜひ実際に触れて感じてみてください。

※一点一点個体差がございます。

【Material】
SILK 100%

【Color】
Lac


【Size】
1.80m×0.96m


Price
¥90,000 + tax

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