これまで私が惹かれてきたのは、時間をかけて丁寧に織られた古い機械の仕事でした。
糸の揺らぎや温もりをそのまま残すような、生地に人の手の痕跡を感じるもの。
けれど、今回のテキスタイルはその流れとは少し異なります。
最新の高速編み機を用い、限界まで密度を高めて編み上げたコットンジャージー。
特定の産地や綿花の銘柄にこだわるのではなく、「糸そのものをどこまで磨けるか」という一点に焦点を置いて開発しました。
施したのは、糸を一度に仕上げる「濃縮シルケット加工」。
一般的な多段階の工程を省き、糸の輪郭を削ぎ落とすことなく、必要最小限の光沢とハリを与えています。
過剰な滑らかさではなく、芯の通ったしなやかさ。
その均衡を見極めることが、この生地の本質でした。
高速編機の中で、まれに静電気が他の糸を巻き込むことがあります。
生地の表面に現れる小さなネップのような痕跡は、その偶然の証。
それは欠点ではなく、機械が生み出す「意図しない表情」として、そのまま受け入れています。
完璧ではない緊張感が、この生地には静かに宿っています。
最初はわずかに硬さを感じるかもしれません。
しかし洗いを重ねるほど、繊維は空気を含み、徐々に柔らかく体に馴染んでいく。
それは時間をかけて「着る人に寄り添う」ように変化していく素材です。
また、構築面でも一つのルールを設けました。
「すべてを共地で完結させる」ということ。
襟や袖口に別素材のリブを使わず、同じ生地のみで全体を構成。
結果として、無駄のない統一感と、わずかに立ち上がる襟が生む端正な印象が生まれました。
ロック始末の軽やかさや、袖の三つ巻きがもたらす余白もまた、この生地の質感を静かに際立たせています。
研ぎ澄まされた密度の中に、偶然と時間が滲む一枚。
それは、合理と詩のあいだに立つような布です。
素材
COTTON 100%
カラー
WHITE
サイズ
S/M.M/L.2XL/3XL
S/Mバスト63cm 裾幅63cm 肩幅59cm 袖丈52cm 着丈69cm
M/Lバスト65cm 裾幅65cm 肩幅61cm 袖丈53cm 着丈71cm
2XL/3XLバスト73cm 裾幅73cm 肩幅64cm 袖丈58cm 着丈82cm
着用サイズ 71kg 180cm M/Lサイズ着
18,000+tax
